個別指導塾と言っても、講師:生徒が一:一~四まで様々ですが、共通しているのは全ての生徒に対して個別対応していることです。生徒の学力に応じて取り組む問題を取捨選択し、無理と無駄をトコトン排除します。宿題も、生徒の学力・状況に合わせて内容・分量を調整します。ですから、生徒は常に自分に合った指導を受けることができます。
例えば成績優秀者は、1つの単元を習った場合、それを応用した総合問題、入試レベルの問題にチャレンジすることができます。成績不振者は、その単元を理解するために必要な過去の単元に遡(さかのぼ)って解説を受けることができます。こうした指導が受けられるのは個別指導だけです。
個別指導塾に対する2つの誤解があります。
1つは「それならば家庭教師と同じ」という誤解です。確かに家庭教師も個別指導の1つの形態です。指導する講師の多くが現役大学生であることも共通しています。しかし家庭教師の場合、その多くが指導内容を現場の学生に丸投げされています。個別指導塾は違います。現場の講師は学習指導に専念し、全体のカリキュラム構成や教材選択、面談(学習カウンセリング)、生徒のモチベーションUP等々はプロである教室長(塾長)が担当しています。いわばW指導者体制を敷いているのです。家庭教師では、その学生講師の力量に大きく左右されてしまいますが、塾の場合、講師育成を含めた全体を包括する体制が整っています。
また、家庭教師では得られない環境が塾にはあります。確かに指導現場を切り取ってみれば、そこには生徒と講師のマンツーマンの関係が見て取れます。しかし、教室内には多くの生徒(仲間・ライバル)と多くの講師が存在しています。
こんな逸話を聞いたことがないでしょうか。
例えば一人の生徒に「限界までグランドを走れ」と指示したとします。彼は二〇周で限界を迎えました。今度は彼が所属する野球部全員に「限界までグランドを走れ」という指示が監督から出されます。この場合、彼の限界は確実に二〇周を越えます。「みんなが頑張っているのだから、自分だけ先に諦めることはできない」「あいつ(ライバル)よりも先にくたばるものか…」心の中は様々でしょうが、そうした健全なライバル意識は確実に人を成長させます。いわゆる切磋琢磨です。
家庭教師の場合、身近に仲間やライバルを意識することはありません。常に自分一人です。そうした環境では、人は充分に成長することができないのです。個別指導塾には健全なライバル、一緒に頑張る仲間がいます。そうした環境が個人の成長を大きく促します。我々塾人も、そうした環境づくりに十分に配慮しています。苦しくなったとき、挫(くじ)けそうになったとき、きっと仲間の存在が力になってくれることでしょう。
もう1つの誤解は「個別指導では全教科を受講することができないので、全体の成績は上がらない」というものです。確かに個別指導塾の場合、生徒の7割が数学・英語の2科目受講をしています。これは本当に申し訳ないのですが、その形態上、どうしても授業料が高額になってしまいます。ご負担が大きく、5科目(中学生の場合)全てを受講するのは難しい家庭がほとんどです。結果、積み重ね科目である数学と英語中心の受講になります。すると、「指導している科目は伸びるかもしれないが、他の科目は伸びない」と思われるのも無理はありません。
「ハンカチ理論」と呼ばれる法則があります。ハンカチには4つの角があります。その1つの角をつまんで持ち上げると、残りの3つの角も遅れて持ち上がります。それは、全ての角が布でつながっているからです。実は、学力も同じ法則が働いています。表面上は国語・数学・理科・社会・英語と科目は別になっていますが、学力を司(つかさど)る脳内部位の大半は共通しています。数学的思考力は理科にも通じますし、英語の暗記力や文法構成力は社会や国語と同じです。
また、1つの科目の成績向上が自信となり、他の科目を勉強する意欲にもつながります。つまり、1つの科目が成績向上すると、遅れて他の科目も向上するのです。それがハンカチ理論です。集団指導塾で全ての科目をまんべんなく中途半端に学ぶよりも、1~2の科目に絞って集中的に学習した方が、結果として全体の学力向上につながるのです。